絞り染には、職人仕事を越えた魅力があります。いわばオーケストラの指揮者ですね。

 新しいものが出てくると古いものは時代遅れになるのが世のならいです。しかし紫根染は、新しい柄が出ると、古い柄のよさが輝いてきます。そんな不思議な魅力を感じながらこの仕事に携わってきましたが、絞り染は、一反染め上げるのにも多くの人手が必要であり、職人の技を越えたセンスも要求されます。オーケストラを指揮するように全体を見渡す目が大切なんですよね。

草紫堂 二代目 藤田勉 草紫堂 三代目 堂主 藤田繁樹

 私どもの店では、『士魂商才』『温故知新』という言葉を日頃モットーとしておりますが、『士魂』とは侍の魂のシコンと、紫根染のシコンとを掛け合わせたもので、どちらも生前父が口癖のように話しておりました。

 又、温故知新というのは、単に古いものに帰るという事ではなく、古いものの探求の中から、更に新しいものに勇気を持って挑戦して行く、そういう事だと思います。

 先人の血と汗の結晶として受け継いできた伝統文化を次代の人々に正確に伝え、また新たなる伝統文化を創造していく努力こそ、一層大事ではないかと思います。