円形脱毛症

【病因】

 円形脱毛症の原因をストレスと考えている人が多いようです。そのためか、円形脱毛症と診断すると、「ストレスは無いのになー?」と答える方がいらっしゃいます。しかし、円形脱毛症の脱毛部では、組織障害性を有する特殊なリンパ球が集まっていることが明らかになっております。そして、この特殊なリンパ球が毛母(毛の根っこで、毛を作り出している部位)を攻撃するために脱毛が生じると考えられています。

 円形脱毛症で興味深いのは頭皮全体がダメージを受けるのでなく、部分的に円形に脱毛を生じることです。部分的に脱毛の生じる原因として円形脱毛症の発症した部位にはリンパ球の集まりやすくする細胞接着物質が多く見られるという報告がされております。すなわち、それらの物質を目印にリンパ球が集まり、円形の脱毛局面を形成するということが考えられます。

 それでは、ストレスが全く関与しないかと言うとそうとも言い切れません。それはストレスがかかると交感神経優位となり、その結果、血管が収縮します。血管の収縮は局所での血流低下につながり、毛母の微細な変性を生じる可能性があります。それがリンパ球の集合を引き起こす可能性も考えられます。

【症状】

 一般的に500円玉以下の丸い脱毛を数個認めます。多発している場合は、左右対称性に見られるのも一つの特徴です。円形脱毛症の病気が進行している時期には、自然に毛が脱落し、枕などにたくさん落ちていると同時に、触るとチクチクする毛がたくさん見られます。それに対して、治癒する時期になると脱落する毛が減り、新しい毛を触ってもチクチクせずに手触りが良くなります。

 重症度は、脱毛部の数、大きさに比例します。特に完全に頭髪の脱落した症例は悪性脱毛症といわれる場合があります。

【治療】

 円形脱毛症の治療には様々のものがあります。たくさんの種類の治療法が存在するのは、円形脱毛症の頻度が高く、自然治癒の症例もある一方で、極めて難治の症例もあることと関連します。基本的には、血流を良くする作用、炎症や免疫を抑制する作用、ストレスを抑える作用などが中心となります。

1. 外用療法

 フロジン液:血管拡張作用

 副腎皮質ホルモン剤:抗炎症作用、性ホルモン様作用による多毛

2. 電気照射療法

赤外線照射療法:血流を良くする

紫外線照射療法:免疫抑制作用

3. 内服療法

セファランチン:抗アレルギー作用、血行を良くする

漢方薬:半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、桂枝加竜骨牡蠣湯など

抗不安薬:脱毛が進行している時期の不安、再発への不安などの抑制

副腎皮質ホルモン剤:難治性の重症例で使用を考慮

サイクロスポリン:難治例に有効とされるが保険適応外

4. 刺激療法

ドライアイス圧抵療法:局所を一時的に冷却する。その後に紅斑がみられるが、血流が増加していることを示す。凍傷と同様の炎症を起こす。それにより、特定のリンパ球が集まるのを防ぐ。

SADBE療法:人工的に頭皮に接触性皮膚炎(かぶれ)を生じさせて、その結果、炎症を起こし毛根を攻撃するリンパ球が集まるのを防ぐと考えられます。重症の症例に適応になります。